アカウンティングの基礎 〜新規事業開発のためのアカウンティング・ファイナンス勉強会 【第4回】〜が開催されました。
2023年7月26日にアカウンティングの基礎 〜新規事業開発のためのアカウンティング・ファイナンス勉強会〜の第4回を開催しました。講師は前回に引き続き、Buddycare株式会社の代表取締役CEO 原田 和寿氏が務めてくださいました。
第2・3回では、実際に参加者の事業計画書を参考にしながら事業計画の作り方や概要についての解説が行われました。
続く第4回は、フェルミ推定の実践からスタート。日本の傘市場における市場規模をテーマに参加者一人ひとりがフェルミ推定を行いながら議論を重ね、数値化していく練習を行いました。テーマを数値化するだけではなく、どこに応用しどのように考えを広げていくのかを思考することが重要であると分かりました。
そして本題のキャッシュフロー(以下、CF)について、詳しい解説に入ります。
キャッシュフローとは
以前の勉強会では、CFはPLとBS(バランスシート)の改善を集計した表のことであるとの解説がありました。これらを前提として、原田氏は「キャッシュフロー計算書はお金の増減を示したシンプルなもの。期首残高(事業活動が始まる前のお金の残高)に、営業・投資・財務の3つの活動によるキャッシュフローを足したり引いたりして計算を行っていく。」と述べます。続けて、「(お金の増減を)これらの項目のどこにカテゴライズするかが重要になってくる。」と語られました。
これらの項目が何を示しているのか。参加者とのコミュニケーションも交えつつ、主に営業活動によるキャッシュフローに関して理解を深めていきます。
営業活動によるキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローでは、税引前当期純利益から減価償却費や税金などを足し戻したり、差し引いたりしながら計算を行います。
ここで注意すべきは、流動資産 / 流動負債の増減における換算です。
「調達してきた資産や負債は、一旦全て現金を通じて他のリソースに変換されるとイメージして欲しい。」と原田氏は述べます。
例えば売上が100だったとして、60%が翌月入金される(売掛金の)場合、現金では40しか入ってこない。つまり、売掛金が増えた分、現金は減るということが分かります。
同様に、在庫を60、現金で買ったとすると資産は増えますが現金は減ります。このように、現金への換算を行いながらCFの計算をするとキャッシュの動きを理解しやすくなります。
原田氏からは、「(流動資産や負債の増減に関して)複雑に感じるかもしれないが、実はシンプル。流動資産の項目が増えれば現金が減り、流動負債が増えたら(その分資産調達していることになるので)現金は増えることになる。」と語られました。
また、以前の勉強会では原田氏から「事業開発において最も重要なのはPL。CFはPLの増加とBSの改善の集計表。」というお話がありました。今回も、BSの改善がCFにどのように寄与するかについて解説が行われました。「あくまでもBSの改善は限界があって限定的。一方、事業の本質はPLであり、事業(PL)を伸ばすことで結果としてCFが良くなる。その観点から、事業開発においては、いかにPLをしっかりと構築していくか、という点が最も重要。」と原田氏は述べました。
最後に、CFから読み取れる事業の動きについて解説がありました。
原田氏は、「期首から期末にかけて、極端なCFの増減がないかを読み取ることが重要である。」といいます。「例えば、営業キャッシュフローが急減していた場合、その中の項目に注目し、税引前当期純利益が小さいのであれば、事業が上手くいってないのではないかと予測できる。これは、投資活動によるキャッシュフローや財務活動によるキャッシュフローにおいても、同じように根本の要因を考察することができる。」と語られ、CFにおける増減の変化を見ていくことが重要であると分かりました。
終わりに
次回の『新規事業開発のためのアカウンティング・ファイナンス勉強会』は「ファイナンス概要」になります。ファイナンスの概要についての理解を深めながら事業計画を作っていきます。
mark MEIZANでは今後もスタートアップ、起業を志す方、または新規事業に携わる皆様が、互いに学び、成長し、共にコミュニティを形成する場となることを目指して今回のような勉強会を開催してまいります。