2025.4.15 Tue

鹿児島スタートアップ起業家ぶっちゃけトーク〜鹿児島でスタートアップをするメリット、デメリット〜

2025年4月11日、mark MEIZANにて「鹿児島スタートアップ起業家ぶっちゃけトーク」と題したイベントが開催されました。鹿児島にゆかりのある起業家3名を迎え、モデレーターのEast Ventures フェロー 大柴氏と共に、起業のリアルな体験談や本音が語られました。40名以上が集まり、イベントタイトル通り「ぶっちゃけ」たお話、ここまで赤裸々にお話を聞けるとは!と熱気があふれるトークセッションとなりました。

登壇者紹介 起業ストーリー

株式会社リスポ 代表取締役社長の黍田(きびた)氏。鹿児島で生まれ、大学への進学を機に鹿児島を離れ東京へ。デザイナーとして複数のスタートアップで経験を積み、在学中の2021年5月株式会社リスポを創業。VCからの出資を受け、積立決済SaaS「Respo(リスポ)」を展開中。高校時代から学生団体で活動しており、「自分が集めた仲間と何かをつくり誰かに喜ばれる」という経験を原点に、コロナ渦で大学生活が制限される中で、VCやスタートアップの世界と出会い、自然な流れで起業へ。

Buddycare株式会社 代表取締役CEO 原田氏。鹿児島生まれ。東京の大手商社勤務を経てUターン。2021年4月、「世界中の愛犬が一日でも長く健康に暮らせる社会」の実現のため、犬のヘルスケアをDXするBuddycare株式会社を創業。家族同然の存在である愛犬に1日でも長く元気でいてほしい、そのために自分ができることをしたいという純粋な気持ちから、起業を決断。起業してから4年間、サラリーマン時代よりもはるかに濃い4年間を過ごしており、起業に対してリスクは感じていない。また、サラリーマン時代にはなかった「事業が何に繋がっているか」という実感がある、とのこと。

株式会社ユニマル 代表取締役社長 今熊氏。鹿児島生まれ。大学卒業後、メーカー系システム開発企業でエンジニアとして従事。2013年、「鹿児島から世界で使われるプロダクトを生み出す」ことを掲げ、株式会社ユニマルを創業。「会社員が合わなかった」「鹿児島で働きたいと思える会社がなかった」ことをきっかけに、自分で楽しことができる会社をつくろうと考え起業。その頃、メルカリやベースなどの登場によるスタートアップの盛り上がりもあり後押しとなったそう。

三者三様の鹿児島との関わり方、起業の経緯がこの後のトークセッションへの期待が高まります。

鹿児島で起業するということ ~メリット・デメリット・場所の選択~

原田氏は今の主力事業のペットフードEC事業の特性上、製造拠点に近い鹿児島は有利。一方で、東京で培ったネットワークも活用している。最初からUターンありきで考えていたわけではないと述べれらました。今熊氏は東京に比べ、特に失敗談や業界の暗黙知などの一次情報に触れる機会が少ない点を鹿児島起業のデメリットとして挙げました。ただし、オンラインでの情報収集やハブとなるキーパーソンとの繋がりがあれば、場所は大きな問題ではないとのこと。東京で起業した黍田氏は、ここだけの話だよというようなリアルな失敗談を聞けること、地理的な近さによるネットワーキングのしやすさは東京のメリットとして挙げられました。

確かに失敗談のような生々しい情報はリアルな交流が重要であることがある一方で、東京の企業からヒアリングして得られる情報よりも検索したり、本を読んで得られる情報の方が多かったり、東京と地方の格差は埋められる部分もあります。また、今熊氏は約10年前と比べ鹿児島にも相談相手やロールモデルとなる起業家の存在が増えたと述べ、原田氏は4年前と比較してもmark MEIZANを中心としたコミュニティ形成が進み、起業家同士の情報交換が活発になっていると語られました。鹿児島で起業するということがより現実的な身近なものとしてイメージできるお話だったのではないでしょうか。

スタートアップの資金調達のリアル

上場やM&Aを前提とし急成長をしていきたいのであればVCから調達すべき、有効な手段となるという意見がある一方で、資金調達自体が目的化することは危険で、事業の本質を見失わないことが重要、VCからの調達が全てではないという意見も。低いコストで必要な量を調達することを考えるとデット(借入)とエクイエティでは、デットの方がコストが低い、コストの面ではデットが圧倒的に優位。しかし現実には商品もない実績もないスタートアップのリスクを許容してくれるエクイティを選択する人が多い。ビジネスモデルや事業のステージによっての資金調達先の選択、また行政などの補助金や助成金が充実してきているためこれらの活用が重要と語られました。

活発な会場との対話 「起業」を選択肢の一つに

トークセッションの後半では、会場からは活発な質問が寄せられました。どのように起業という選択肢を知りスタートアップの世界に触れたのか、起業のアイデアはどこで見つけたのか、具体的な失敗談とそこからの改善策、起業のやりがい、社会人経験の必要性などなど。社会人経験は財産でありリスクヘッジにもなるが必須ではない、起業したいならすぐに行動すべき。行動力をがあることは重要だが、ただやみくもに行動するのではなく、「思考」の伴う行動が重要ということがとても印象的でした。

今回の「企業家ぶっちゃけトーク」では、鹿児島に根差した起業家たちの、成功談だけでなく失敗談や悩みも含めたリアルな声が共有され、参加者にとって大きな刺激ことと思います。参加者からは「ぶっちゃけが伺えて大満足」「起業の楽しさを聞けたのが最高でした」との声も。イベント終了後も登壇者と参加者が交流する時間が設けられ、熱気は冷めやらぬ様子でした。鹿児島におけるスタートアップシーンの現状と可能性、そしてコミュニティの重要性が再認識される貴重な機会となりました。起業しての楽しさ、やりがいが伝わり、皆さんの将来に「起業」という選択肢が生まれたのではないでしょうか。
mark MEIZANでは今後も情報発信や交流のハブとしての役割を果たし、鹿児島をさらに盛り上げていきます。早速来月5月16日には人気ECサイト「Little Rooms」代表 平氏をお呼びしてのイベントも開催予定です。
ぜひmark MEIZANまでお越しください!

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