2023.8.17 Thu

アカウンティングの基礎 〜新規事業開発のためのアカウンティング・ファイナンス勉強会 【第1回】〜が開催されました。

2023年7月5日に『アカウンティングの基礎 〜新規事業開発のためのアカウンティング・ファイナンス勉強会〜』の第1回を開催しました。講師にmark MEIZAN卒業生であるBuddycare株式会社の代表取締役CEO 原田 和寿氏をお迎えし、約30名の方にご参加いただきました。

起業を志す方や新規事業に携わる方が互いに学び、成長し、共にコミュニティを形成する場となることを目指して開催された当勉強会。はじめに原田氏からも「(カジュアルなセミナーみたいなものではなく)あくまでも”勉強会”という感じでやっていきたい。」との思いが語られました。

事業開発を行ううえで重要なこと

まず前提として、「課題をMECEに正しく分解するスキルであるロジカルシンキングと、課題を数値化して考えるスキルであるアカウンティング・ファイナンス。この二つが、事業開発をする上で重要なスキルになる。」と原田氏は言います。

ロジカルシンキングに関しては、「新規事業を開発する上での課題はかなり大きく、中々ハンドリングできない。これを分解して、さらにもう一段分解し、最終的にアクションレベルまで分解しきったら、後は実行するだけ。これで基本的には新規事業が立ち上がるようになる。これがロジカルシンキングの考え方であり、MECEに正しく分解するプロセスのことをロジカルシンキングと呼ぶ。」との説明がありました。

一方、課題を数値化して考えるスキルであるアカウンティング・ファイナンスについては「熱量だけでは上手くいかない。やりたいことや今やっていることなどを数値化して具体化して可視化する。そうして正しい議論や判断をしていくことが、必ず必要になってくる。」と言います。続けて、「アカウンティング・ファイナンスを理解していけば、自分たちが熱量を持ってやりたいと思っていることを説得力をもって数字で説明することができるようになったり、数字における大小の比較によって、やりたいことの優先順位がつくようになったりする。」と語られました。

「これまで関わってきたプロジェクトでは、いろんな業界のいろんなビジネスモデルを扱ってきた。ここまで幅広いと、業界の知識だけでは全然太刀打ちできないので、可能な限り定量化をして事業計画を作って数字に基づいて議論をするということをひたすらやってきた。」と述べ、続けて「そのときの、”数値化して議論をすること”への実感値を伝えていきたい。」と今回のアカウンティング・ファイナンス勉強会開催への想いを述べられました。

想い”だけ”では動いてくれない世界だからこそ、説得力を持たせるためには数値化を行い定量化していくということが重要だと分かりました。そしていよいよ本題へ。まずは「アカウンティングとは何か?」について、クイズを交えながら掘り下げて考えていきます。

アカウンティングとは

「アカウンティングは、事業開発を行う上で発生する様々な事象を数値化するためのツール。その中でも、財務三表と呼ばれる損益計算書(以下、PL)・ 貸借対照表(以下、BS)・ キャッシュフロー計算書(以下、CL)が基礎である。」と言います。

「会計を知っていないと、(新規事業開発において)どこに注意すればいいのか分からない。会計を知っているとより効率的で、より攻めることができるようになる。やはりアカウンティングは必要である。」と述べられました。

続く財務三表の解説では、具体的な数字を見ながらそれぞれの役割について考えました。

「事業を行う立場から見て最も重要な表はPLである。」と原田氏は言い、「PLとは、事業の本質と収益の仕組みを表す表のこと。これがしっかりしていないと、その後何をしても小手先の話になってしまう。PLをしっかりと作っていくことが大切」と続けました。

また「(BSは)PLを成り立たせるためにどのようなリソースを持っているか、そしてそのリソースを調達するためにどういう方法を用いているかが分かる表のことで、CLはPLの結果とBSの改善を再修正したもの。CL自体はとても重要だが、事業を行う立場から見ると”CLを良くする”という観点だけでは十分でない。」と言います。

これらを踏まえ、原田氏は「PL、BS、CLがそれぞれ何を意味しているのかを理解すれば、会社の状態を見た時に”良いビジネスをしているか”というのがわかるようになるし、自分のビジネスをどの数字に落とし込めば良いかということが実感として湧いてくる。」と述べられました。

仕訳が会計に欠かせない理由

これまではアカウンティングが必要な理由や財務三表の概要について触れてきました。

財務三表が日々の業務を全て数字にして落とし込んだ結果の表であると共に、業務の全てが会計に繋がっているというお話しもされていました。そして原田氏は、「日々の事業活動を、財務三表の”どこにどのような形で振り分けるべきか”について理解が深まると、日々の事業活動が常に数字に紐づいたものとして認識できるようになる。」といいます。そこに欠かせないのが、仕訳です。

仕訳とは、いわば企業活動を数字に翻訳するルールのこと。また「PLやBSにどう振り分けるのか分かるようになるのが簿記。簿記が分かっていれば、施策や自分の行動が財務三表のどこに影響するかが一瞬で判断できるようになる。つまり、何かアクションを起こした際それらが財務諸表上のどこに影響するのかについて、仕訳を理解することによって判断できるようになる。その意味でも(参加者の方々には)是非、簿記3級を取得して欲しい。」と述べられました。

ここからは、PL・BSの構造や特に注目すべき項目についての解説へ。参加者からの質問も交え、具体的な数値を用いての解説が続きます。

原田氏は、「段階損益は、売上高からスタートし差し引きが行われながら売上総利益、販売管理費、営業利益というように推移していく。本業の利益を表しているのは営業利益までなので、事業を行う立場としては営業利益を見ることが最も重要。」と述べられました。

最後には、「事業を行う上で、最も重要なのはPL。かつ、全ての指標の中で最も重要なのは営業利益。今日はこれを覚えて帰って欲しい。」とまとめて幕を締めました。

スタートアップや起業を志す方、また新規事業に関わる方にとって、数値化思考やファイナンス思考がいかに重要であるかを学ぶことができました。

終わりに

mark MEIZANでは今後もスタートアップ、起業を志す方、または新規事業に携わる皆様が、互いに学び、成長し、共にコミュニティを形成する場となることを目指して今回のような勉強会を開催してまいります。ちなみに第2回は「事業計画の作り方」について、より実践的な内容に入ります。「(次回は)参加者の方々にも実際に事業計画を作っていってもらいながら理解を深めて欲しい」と原田氏も述べておられましたが、単なる座学ではなく、実践的に学び、理解できる勉強会を目指していきたいと考えています。

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