2025.7.17 Thu

グローバル人材/海外展開トーク&交流会 ~鹿児島から世界のソーシャルイノベーションに挑戦!~

2025年7月3日に開催された独立行政法人 国際協力機構(以降、本レポート内では「JICA」と表記します)様との共催イベント「グローバル人材/海外展開トーク&交流会~鹿児島から世界のソーシャルイノベーションに挑戦!~」。
「グローバル」「ソーシャルイノベーション」という大きなテーマを掲げた今回のイベントは、幅広い分野の業種・職種から約40名の方々にご参加いただきました。各分野において、「海外へ目を向けること」への関心の高さが伺えます。

基調講演:鹿児島から世界へ – 成功する海外展開戦略とグローバル人材採用」

ー「ないことがチャンス」イノベーションで市場を創造ー

基調講演では、株式会社エルムの宮原 隆和代表取締役に登壇いただきました。「ないことがチャンス」という信念のもと、ニッチな分野で独自の「オンリーワン」戦略を追求し、世界市場を切り拓いてきたご自身の経験を語られました。特に印象的だったのは、株式会社エルムが開発したディスク修復機を例に挙げた海外展開についてのお話。

2000年代、CDやDVDの傷を手作業で修復していた時代。レンタルショップなどでDVDの普及が進む中、手作業では対応しきれない課題が生まれていました。

海外市場への具体的なアプローチとして、宮原氏は展示会でのブース出展戦略を紹介しました。注目すべきは、アメリカの展示会において、業界ナンバーワン企業の真正面にブースを構えるという大胆な戦術です。これは単に目立つ場所を確保するというだけでなく、競合他社の顧客層に直接アプローチし、さらにはそのトップ企業に「この製品を扱いたい」と言わせることを狙ったものです。

この戦略により、短期間で市場の注目を集め、効率的なシェア拡大を実現。日本の展示会とは異なる商習慣を逆手に取ったこのエピソードは、参加者にとっても大きな気づきと刺激となりました。

また、宮原氏はグローバル人材の重要性を強調。日本人若者の内向的志向や自己投資への意識の低さを示すアンケート結果を提示し、その一方で、優秀な外国人材(イタリア、インド、バングラデシュ、フィリピンなど多様な国籍の人材が在籍)を積極的に採用することで、社内のムードを劇的に変革し、イノベーションを加速させている現状を紹介しました。「遠いところにあるもの同士が繋がると、すごい発明が生まれる」という言葉は、異文化・異分野の融合が新たな価値創造に繋がる可能性を示唆しました。

パネルディスカッション:「海外展開のあれこれ」

続くパネルディスカッションではJICA九州センター企業連携課の馬道氏をモデレーターに迎え、「海外展開のあれこれ」と題し、パネリストとして鹿児島をはじめとする九州エリアから世界を目指す企業の3名がそれぞれの経験と知見を交えてリアルな海外展開の経験談を披露しました。

(有)かごしま有機生産組合 福元氏は、「思い(パッション)」の重要性を強調。困難な政府との交渉や創業者逝去といったトラブルを乗り越えられたのは、有機農業を広めたいという熱い思いと、事業を理解し共感する人材(特に日本語堪能な現地通訳との出会い)に恵まれたおかげだと語りました。社内での熱意の共有と、適切な人材との「点と点を結ぶ」役割が成功の鍵となったと述べました。

また、成功の秘訣について、トラブルに遭っても「諦めないこと」が大切だと述べ、日本の常識が通用しない状況や不明確なことを「楽しめる」ポジティブなマインドが重要だと結びました。

オーシャンソリューションテクノロジーの水上氏は、JICA事業への応募で一度不採択となった経験を踏まえ、「覚悟」を持って臨む姿勢の大切さを語りました。応募前には国内の情報収集にとどまらず、必ず現地を訪れて実態を把握することが、成功への第一歩だといいます。また、現地政府機関との関係構築においては、特定の担当者に依存せず、複数の部署や研究機関と幅広く連携することで、事業を着実に前進させることができると述べました。

さらに、海外人材のアグレッシブさや自律性が、現地での事業推進において極めて有効であるとし、今後も積極的に採用していきたいと意欲を示しました。これらの経験を通じて水上氏は、海外展開に対する不安は机上の空論に過ぎず、「まずはチャレンジし、直面する壁を一つずつ乗り越えていくこと」が何よりも重要だと力強く語りました。

元国際航業株式会社 福山氏は、コンサルタントの立場から、海外展開を目指す企業に求められる人材像を提示します。語学力以上に、相手国の人々や社内を含めた日本側メンバーと円滑なコミュニケーションを取れる能力、そして国際協力や社会課題解決への熱意が重要だと語りました。また、社内での意思統一がプロジェクト成功の鍵であるとし、「JICAの信用を最大限に活用すること」が、現地での情報収集や関係構築に役立つとアドバイスしました。

パネルディスカッション全体を通して、①チャレンジ精神 ②諦めない心 ③コミュニケーション能力 ④現地理解 ⑤人との縁が、海外展開において不可欠な要素であるという共通のメッセージが伝わりました。

海外展開を検討する企業にとって、具体的な成功事例や課題解決のアプローチ、そして JICA やコンサルタントのサポートをいかに活用していくかについて、多角的な視点から学びを得られる貴重な機会となりました。

鹿児島から世界へ!

パネルディスカッション後には、約一時間という限られた時間でしたが、登壇者や運営関係者、参加者を交えた交流会も開催し、名刺交換や情報交換の場となりました。多岐にわたる分野からの参加者が互いに学び合い、グローバルな活躍を期待できる新たなコラボレーションが生まれるかもしれません!

本イベントは、鹿児島から世界へ羽ばたくためのヒントと、挑戦を後押しする支援策、そして何よりも「人」の重要性を再認識する貴重な機会となりました。参加者一人ひとりのグローバルへの一歩を応援する熱気あふれるイベントは、盛況のうちに幕を閉じました。

mark MEIZANでは今後も皆様のビジネスや挑戦を後押しできるようなイベントを開催してまいります!講演やディスカッション、交流会など様々なかたちでお届けするなかで、事業に直接役立つ情報はもちろん、挑戦し続ける方々の考え方やマインドに触れられることも、イベントの大きな魅力です。

その刺激はきっと、次のステージに進むエネルギーになります。

ぜひmark MEIZANにお越しください!

Share!