2025.5.20 Tue

人気ECサイト「Little Rooms」代表が語る「成長の秘訣と苦悩、そして未来」

2025年5月16日に開催された人気ECサイト「Little Rooms」代表が語る「成長の秘訣と苦悩、そして未来」。イベント前日から桜島の火山活動が活発化し大噴火連発。モデレーターのEast Ventures フェロー 大柴 貴紀氏は前日に搭乗を予定していた鹿児島行きの飛行機が滑走路まで出ながらも、噴火の影響によりに欠航。福岡を経由して、新幹線で来てくださいました。Little Rooms株式会社代表の平 貴衣氏はなんとか飛行機が予定通りに運行され無事鹿児島に到着。開催前からどきどきが重なりましたが、当日はあいにくの空模様の中、熱意あふれる参加者が約40名が集まり盛況のうちに幕を開けました。

平氏は2016年に大学を卒業後、2018年に起業。当時はメディア事業からスタートし、SNSを起点にECブランドを立ち上げ、著しく成長しているインテリア・雑貨のセレクトショップ「Little Rooms」を展開。売上は前年比で200% 超、 SNSの総フォロワー数は100万人を超え、大きな影響力を持つようになりました。昨年には新ブランド「LOOSY」を立ち上げ、大成功をおさめています。そんなLittle Rooms株式会社代表の平氏が語る「Little Rooms」「LOOSY」の成功の秘訣とそこに至るまでの苦悩や葛藤、起業家としての歩みやビジネスに対する姿勢。リアルなお話をお伺いすることのできる貴重な機会となりました。

起業ストーリー 成長と苦悩

平氏と大柴氏の出会いは2018年。大柴氏は「不器用だけどピュアにサービス作れそうな起業家に出会った」と、プロダクトへの熱い思いに惚れ込んで投資を決めたというエピソードからイベントはスタート。

子どもの頃から漠然と「社長になりたい!」という夢を持っていた平氏。大学時代に経験した女性向けサービスMERYでのインターンを原体験に、就職した会社でのギャップや好きだったサービスがクローズしてしまうという逆境の末、それならば自分でやるほかないと、インターン時代の同期である佐藤氏と共同創業したとのこと。元々起業したいという思いはありつつも想定よりも早いタイミングでの起業は、必ずしも前向きな理由だけではなかったとお話しいただきました。

最初に手がけたのは歯磨き粉。なんと150万円を投資したのに、当初売れたのはたったの3個だったとか…!歯磨き粉の集客のために始めたInstagramでの暮らしのメディアが「make my room」。DIYや節約術など、9投稿した中で1人暮らしのお部屋の投稿がバズったことから、“部屋づくり” に特化したアカウントにシフト。当時はお部屋をSNSに載せる文化がなく、韓国の方のアカウントを許可を取って紹介からスタートしたそう。どのようなコンテンツにニーズがあるのか検証する、ストーリーを活用した紹介型のリポストでフォロワーを増加させるなどのフェーズを経て、「この商品どこで買えるの?」というフォロワーから言われることが多くなってきたことを背景に、2019年EC+メディアの「Little Rooms」が始まりました。初日から売り上げは好調で手応えを感じ、これから伸ばしていくぞというタイミングでコロナ禍に突入。中国のロックダウンの影響もあり、巣ごもり需要で業界として追い風を受けながらも商品を仕入れることができず売り上げを上げることができない、約2年間の辛い停滞期。そんな辛い時期を乗り越え、国内仕入れやオリジナル商品の開発の取り組み、2024年5月末にソファブランド「LOOSY(ルージー)」の誕生により会社は急成長を遂げました。

2024年はLOOSYの成功による事業の急成長という大きな喜びをもたらした一方で、組織としてのあり方を見つめ直す大きな転換期でもあり、とてもしんどい時期でもあったと語られました。事業が伸びたことで自分自身に向き合う時間が増え、「なんのために頑張っているんだっけ?」と立ち止まってしまい、つられるように会社の雰囲気も暗かったそう。共同創業者の佐藤氏とこれまで話すことができなかった結婚や出産などのプライベートなことも含め、どういう人生を今後描いていきたいのか、その上で会社をどのようにしたいのか、これまで必死に走ってきた中で置き去りにしてしまっていたことを語り合ったとのこと。さらにメンバーを踏まえて改めて会社の根幹となるミッション・ビジョン・バリュー(MVV)についてとことん向き合い、深く深く話し合ったと言います。そして、そのMVVが固まった瞬間平さんは、「涙が出るくらい、ストンと腑に落ちる納得感があった。」「みんなの心の熱の高まりを体感できるくらい、会社の雰囲気がガラッと変わったんです。さらにこう、みんなで頑張れるエンジンがかかったというか…本当に良い方向に繋がったと思っています。」と、当時の熱い思いを語ってくれました。

SNS戦略のリアル 「共感」がカギ

Little Roomsが運営するアカウントは3つ。メインアカウントの「Little Rooms」、部屋づくりに特化した「make my room by Little Rooms」、おうち時間に特化した「in my room by Little Rooms」です。
おしゃれな印象と裏腹に、緻密な戦略が垣間見えました。KPIはフェーズごとに変化させ、市場調査やニーズ調査などを踏まえた仮説と実証を繰り返す。アルゴリズムの変化にも柔軟に対応し、トレンドを先取りしていく。初期には1日50件以上のDMに全て目を通し返答するなど、泥臭いことも取り組んでいたそう。
特に印象的だったのは、ユーザーに何も言わないまま突然大きな意思決定はしない重要性を、「仲の良い友達がいたとして、彼氏のことも紹介されたいないのに、突然結婚すると言われたら結構ショックだな」と表現したこと。たしかにそうだなと、とても腑に落ちました。

質疑応答も盛りだくさん!参加者の知りたいに真摯に回答

イベントの後半では、参加者方の質問タイムを設け、多くの質問が寄せられ、平氏に一つ一つ丁寧に回答いただきました。ほんの一部をご紹介。

Q.フォロワーが購買行動を起こすための仕掛けは?
A.どうすればフォロワーが購買行動を起こすか、というテクニック論よりも、まず本当に欲しいと思ってもらえる良い商品(コンテンツ)を作ること」が基本であり、最も大切。本当に欲しいと思える商品であれば、自然と売れます!また、各SNSプラットフォームの特性を理解し、それぞれに合ったコンテンツ配信やコミュニケーション戦略を立てることが重要。例えば、Xでは時流に乗ったカジュアルな投稿、Instagramではブランドイメージに沿った統一感のある投稿、TikTokではリーチを狙ったバズるコンテンツ、といった使い分けをしています。

Q.起業して一番苦労したことは?
A.人(組織)とお金ですね。特に株の割合は本当に慎重に決めた方がいいです!また、創業初期に共同創業者と二人で「粛々ととにかく頑張る」というスタイルで、あまり外部の人に会ったり、相談したりしなかった。当時は、それが美徳であり、集中して取り組むべきだと考えていたものの、今振り返ると、もっと早い段階で色々な人に会って話を聞いていれば、もっと多くのヒントを得られたり、物事が早く進んだりしたかもしれないと感じています。

等身大の姿、一歩踏み出す勇気

平氏の失敗を恐れず挑戦し続ける姿勢や仮説と検証を繰り返す分析能力、それを言語化する能力にとても感銘を受けました。その一方で、どこか起業家とは特別な人のように感じてしまうことがありますが、平さんのリアルな失敗や悩みを伺い、悩んだり迷ったりしながら挑戦を続けている、そんな等身大の姿に親しみを感じ、勇気をもらいました。参加者の皆さんにとっても大きな刺激となったことと思います。

今後もmark MEIZANではさまざまな登壇者をお呼びしイベント開催いたします。また、交流拠点としての役割を果たし鹿児島をさらに盛り上げていきます。平氏と大柴氏の運命的な出会いのような、新たな出会いが待っているかも!?
mark MEIZANでお待ちしております。



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