確認しよう!ECを始める前の基礎知識
インターネット上でお買い物。スマホをタップ、パソコンでクリックするだけで製品が家まで届く、とても便利な仕組みです。ECとは、インターネット上で行われるものやサービスの取り引きのこと。
鹿児島市を拠点にしながらも、県外・海外のお客様に製品を届けられるECはビジネスを成長させるカギとなります。
mark MEIZANには、様々な職種の方々が日々いらっしゃいます。どんな職種でもECを活用するメリットは大きく、検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな皆様の第一歩として、2024年11月19日、mark MEIZANにて「確認しよう!ECを始める前の基礎知識」が開催されました!小売業や農業・ITなど、様々な職種の約20名の皆様にお集まりいただき、様々な業界でECが注目されていることがうかがえます。
ECは「自分の店舗」!自身にぴったりな媒体を見つけよう!
まず、税理士法人アーリークロス 経営支援部 鹿児島事務所 山下哲氏に登壇いただき、ECでの事業展開を考えている方に税務財務で注意してほしい点についてお話しいただきました。
ECを行う上で、「試算表」が重要だと山下氏は語ります。試算表とは、会社の利益や財務状況をリアルタイムに表すもの。このデータを経営に反映させることが事業成功につながると語ります。
また、山下氏は「ECの試算表は難易度が高い。事前に準備をすることでスムーズに試算表作成ができる」と語ります。この「事前準備」とは、経理の業務確認のこと。経理に関する業務フローを把握し、体系的に経理業務を組み立てることで滞りなく事業拡大に歩みを進めることができます。
業務フローはどのような媒体で販売をするかで大きく異なります。そこで、まずは販売サイトを決めることがスタートライン。販売手数料などのコストや、入金のサイクルによる資金繰りなど、検討すべきことは様々。販売媒体はまさにインターネット上に構える自分のお店。実店舗と同じように、立地やコストなどを比較しながら、どこにお店を構えたいか検討する必要があります。
それでは、どのような部分を検討材料にすれば良いのでしょうか?
まず注目すべきなのは、サイトごとに異なる業務フロー。山下氏は、「業務の流れを書き出すことが重要。ここが大変だな、というポイントを認識することでサイト決定の検討材料になる。」と語ります。サイトによって、試算表に反映できるデータを自動で出力できるものもあれば、自身の手で集計しなければならないサイトも。自身にあったスタイルを見つけましょう。
試算表は経営戦略の第一歩!試算表の読み方を知り、ECを軌道にのせる!
そして、いよいよ試算表の読み方について解説いただきました。
実際の試算表を見ていきましょう。
画像左上、販売サイト毎に項目を分けることでサイト別の売上や傾向が見えてきます。
さらに、画像左下は、ECにおいて重要となる「手数料」。これらの経費を原価として取り入れることで、粗利がより鮮明になり、財務状況も理解しやすくなります。このように、事業に合わせ、意識したい部分を細分化することで現状把握が可能となり、より経営戦略を練りやすくなります。
試算表を作ることを前提としたサイト選びから、営業戦略に繋げる試算表の読み方を学ぶことで、ECを始める前のスタートダッシュを切る体制が整います!
ドメイン戦略次第で売上が変化するかも… あなたに最適なECとは?
続いて、登壇していただいたのは、さくらインターネット株式会社 インターネットサービス部 谷口 元紀氏。ECサイトにまつわるドメイン戦略と、セキュリティ対策について語っていただきました。
ドメイン運用を考えるときに合わせて考えるべき要素としてSEO(Search Engine Optimization=検索エンジン最適化)があります。Webサイトの内容を充実させ、検索結果上位に表示させることで、伝えたいユーザーに情報を届けることを指します。コンテンツを増やしてサイトのSEOを高めることで、大企業に負けない情報発信を行える可能性を秘めています。
ECサイトは普通のウェブサイトと何が異なるのでしょうか?谷口氏は、「原則ドメインは1社1つが原則。しかし、ECの場合、ドメインを2個以上取得する、サブドメインを取得するパターンもある」と語ります。
谷口氏は、大きく3パターンのホームページアドレス例をあげました。
パターンAは1つのサーバーに全てのサイトを置くため、SEOを使ったアプローチに有利となります。
パターンBは、サブドメインを取得する現在一般的と言われる手法です。
さらに、パターンCはモールに出店するような形式で、全く異なるドメインとなります。
低コストにECサイトを運用するためパターンBになることが近年の傾向ですが、SEOが分散するため、基本的にはコンテンツSEOは本体サイトで行いつつ、ECサイトへ送客できるデザイン・UI戦略が必要とされます。
ドメインとSEOの結びつきを学び、せっかくECを始めるならば、検索上位にサイトを載せたい!と考えている方も多いはず。少しずつ価値を積み重ねるSEOは企業にとってまさに資産。しかし、そんなSEO資産や顧客情報を狙う危険がECの周りには潜んでいます。
セキュリティ対策で顧客と企業の資産を守る!
自分でインターネットで買い物をした時のことを思い浮かべてみると、氏名・住所・電話番号からクレジットカードの番号まで、様々な情報を入力しています。ECでは、個人情報を取り扱うため、セキュリティに気を配らねばなりません。谷口氏は「小規模システムの場合、注意するべきなのは脆弱性・アカウント管理・DoS攻撃の3点」と語ります。
脆弱性とは、プログラムにおける脆弱な部分のこと。本来アプリケーションは安全にできているものですが、作成時にわからなかった問題により、不正な操作が可能になってしまうものを脆弱性と呼びます。脆弱性をきっかけに侵入し、フィッシング詐欺サイトに繋げられてしまったり、カード番号を盗難されてしまう危険性があります。脆弱性は、基本的に開発者が対応し、アップデートにより修正されるものです。しかし、Word Pressなどを使って自身でサイトを管理する場合はアップデートのし忘れがないよう注意しましょう。
また、アカウント管理について、谷口氏は「アカウント管理は自身で防御できる面が広い。アカウント乗っ取りに一番注意してほしい。」と語ります。対策として、
- 多要素認証の導入
- パスワードの複雑化
- パスキー認証
などをあげられました。
さらに、DoS(Denial of Service attack )攻撃について。DoS攻撃とは、アクセスを集中させ、サーバーを応答不能にする攻撃のことです。サーバーが応答不能になっている間、ECは利用不可となり、もちろん売上は上がりません。経営にも打撃を与えることになります。
アカウント乗っ取り、DoS攻撃のどちらも、サイトの規模関係なく襲われる危険性があります。これらの攻撃を自分ごととして捉え、対策を講じることが重要です。
困ったら専門家へ mark MEIZANの相談窓口をご活用ください!
お二人にお話いただき、「税務財務」と「ドメイン」という2つの面からECを学ぶことができるセミナーとなりました!
谷口氏は、質疑応答で寄せられた「ITについて何もわからないのですが、ECを始めたい場合どこに相談するのが最も良いですか?」という質問に、「地元にECできる制作会社があるはず、まずはそこを尋ねてみては」と答えられました。
鹿児島にはどんな会社があるのかな?専門家の手を借りたいな…そんな方はぜひmark MEIZAN の相談窓口をご利用ください。経営相談からECにまつわるビジネスマッチングまで、多様な相談を受け付けています。mark MEIZANはマッチングの場でもあります。今回のセミナーで名刺交換を行う姿が散見されたように、mark MEIZANに訪れたことをきっかけに思わぬビジネスパートナーや学びが得られるかもしれません!ぜひmark MEIZANにお越しください!