2024.10.4 Fri

鹿島建設のスマート生産ビジョンを推進する共創型DX開発の実例~東京-鹿児島間、一度も対面せずに建設現場をDXした方法とは?~

10月2日、「鹿島建設のスマート生産ビジョンを推進する共創型DX開発の実例~東京-鹿児島間、一度も対面せずに建設現場をDXした方法とは?~」が開催されました。エンジニア、建設業や公務員の方など、多様な職種の20名以上の方にお集まりいただきました。

大企業とスタートアップによるオープンイノベーションの事例として、「鹿島建設」×「さくらインターネット」×「リリー」の取り組みについて、その経緯や取り組みの概要、それぞれの企業の役割等を事例として紹介。大企業側と地方のスタートアップの取り組みにおいて、リモート環境で、どのようにオープンイノベーションの取り組みを成功させたかについても深堀りされました。

登壇していただいたのは、以下の方々です。

鹿島建設株式会社技術研究所 主席研究員 岡 尚人氏
鹿島建設株式会社技術研究所 先端・メカトロニクスグループ 諸橋 俊大氏
さくらインターネット株式会社 社長室 税所 達朗氏
株式会社リリー 代表取締役CEO 野崎 弘幸氏

モデレーター
イーストベンチャーズ株式会社 フェロー 大柴 貴紀氏

3社で開発 ITの力で現場を変える「鹿島スマート生産®︎」「moni-as®︎(モニアス)

今回登壇された3社で開発したのは、鹿島建設のCFT工事に特化した社内向けアプリ「moni-as®️」。現場からニーズを掴み、ITを使ってもっとスマートに工事を進められないものかという思いから開発がスタートしました。ITを使いこなせないような人でも簡単に利用できるよう、できるだけ手順を簡潔化したシンプルな構成となっています。

鹿島建設では、「鹿島スマート生産®️」を推進中です。「作業の半分はロボットと」「管理の半分は遠隔で」「全てのプロセスをデジタルに」これら3つのコアコンセプトに基づき、先端ICT・各種ロボットの活用と現場管理手法の革新で生産性の向上とより魅力的な建築生産プロセスを目指しています。自社以外の意見や技術を取り入れることで、さらに躍進する、オープンイノベーションが有用になる例です。

また、建設業は人による手仕事がほとんど。全ての作業を機械化することは難しく、高齢化が課題となっており、生産性を上げるためにITをどのように活用していくかが建設業全体の課題となっています。そのような現状で、現場の声を取り入れたアップデートの実施は自社開発だからこそできると諸橋氏は語ります。

大企業がITベンチャー鹿児島のDX会社と組んだ経緯とは?

「moni-as®️」は、さくらインターネットのImage Fluxという簡単にブラウザからライブ配信ができるようなプラットフォームを利用しており、低遅延で映像を配信できることを最大の特徴とします。
多様なプラットフォームが存在する今日、なぜさくらインターネットのImage Fluxを選択したのでしょうか。

諸橋氏は、「他にもたくさんのプラットフォームがあるが、自由度と出来上がっている塩梅がちょうどよかった。開発スピードを上げながらも、自社で開発するメリットであるカスタマイズ性が担保されていることが理由。」と語ります。さらに、HPに知りたい情報がまとまっていて、事例が詳細に掲載されていたことが安心材料になったとのこと。エンジニアとのインタビュー形式の事例紹介で、自身と境遇の近い方の声を聞くことができ、判断材料になったと語ってくださいました。HPでの情報発信が、新たなビジネスチャンスに繋がった瞬間であり、効果的な情報選択と積極的な情報発信が、ビジネスにおいて重要であることがわかります。

そして、Image Fluxを使った開発を行うパートナーとして抜擢されたのが、鹿児島のDX会社であるリリーでした。しかし、DXを行う企業は全国各地にあり、都内の企業をパートナーに選択することもできたはず。税所氏は、リリーをパートナーに選んだ理由として、技術的に必要不可欠である「Image Fluxへの理解度の高さ」、レスポンスの速さをはじめとする「コミュニケーションの円滑さ」、さらに「システム開発の実績」の3点を挙げられました。

そして、実は税所氏と野崎氏の出会いは、今回のイベント開催地である、マークメイザン。当時、税所氏はマークメイザンのイベントに登壇しており、野崎氏がそのイベントへ勉強のために出席したことがきっかけだそうです。鹿児島、およびマークメイザンでイベントを行うことが、コミュニティ形成に一役を担っている実例を目の前にし、イベント開催の意義を再確認する一幕となりました。

一度も対面せずに完全リモートで開発できた理由

今回のイベントの大きな目玉となる「なぜ完全リモートで開発ができたのか?」
鹿島建設の岡氏と諸橋氏は、なんと野崎氏とは今回のイベントが初対面とのこと。開発期間がコロナ禍であったこともあり、税所氏とも、ほぼ対面しない状態で完成まで到達したと語ります。

さくらインターネットと鹿島建設の間では、オンラインで頻繁に連絡を取り合い、どういうものを作っていくかというすり合わせに時間をかけていたそうです。諸橋氏は、「まずは土台を作り、現場の声を聞きながらブラッシュアップする方針とした。現在進行形で現場の声を聞きながら共有し、アップデートしていっている。」と語ります。オープンイノベーションはまさに革新。しかしながらも、革新によって最も影響を受けるのは、現場に携わる人々です。躍進に向けて変化を遂げながらも、現場の声を尊重される鹿島建設らしいスタイルが、開発に当たっても反映されていることがわかりました。

リモートでの開発となった点について、野崎氏は、「現場の声を聞いて創り上げいくにあたって、リモートという条件をディレクション能力の高さがカバーしてしてくれた。課題に対してオンラインでディスカッション、コミュニケーションが取れていたため、やりにくい点は特にはなかった。」と語ります。オンラインでコミュニケーションを取り続けることと、情報整備を適切に行うディレクションが、リモート環境におけるオープンイノベーションの成功へと導いたことがわかります。

鹿児島から全国へ!コミュニティ形成による効果

リモート環境でありながらも、3社の積極的なコミュニケーションで形となった「moni-as®️」。
鹿児島を拠点としながらも、多種なコミュニティが交わることで、大企業と共にプロジェクトを成功させた事例を伺うことができました。

最後に、岡氏が企業の情報発信について触れられ、「日本全国の企業を見つけることは難しい。まさにタイミングと出会い。できるだけ多くの情報を発信していただき、出会っていきたい。積極的に情報発信をすることでアプローチしてほしい。」と語られました。

参加者の皆様からは、「大企業と鹿児島の企業が繋がる経緯が興味深かった」「感化された。我々も頑張っていきたい!」などの声をいただきました。
マークメイザンでは、今後も様々なイベントを行なっていきます。今回登壇された税所氏と野崎氏のように、コミュニティに飛び込んでみることで新たな出会いがあるかもしれません。また、クリエイター、エンジニア、起業家各種相談や、ビジネスマッチングなど、スペシャリストによる相談対応もご準備しています。みなさんの技術や知識を高めることのできるイベントの開催も企画していきます!ぜひマークメイザンをご活用ください!

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