2024.4.27 Sat

mark MEIZAN Conference “Mix” vol.1 ②パネルディスカッション 鹿児島市内経営者が考える「地方創生 × プロスポーツクラブ」

2024年2月8日に、mark MEIZAN Conference “Mix” vol.1 が開催されました。第1部の最後には、『鹿児島市内経営者が考える「地方創生 × プロスポーツクラブ」』をテーマに、有川 久志氏(株式会社鹿児島レブナイズ 代表取締役社長COO)、弓場 昭大氏(ユーミーコーポレーション株式会社 代表取締役)、小林 浩宣氏(鹿児島ユナイテッドFC 地域連携部 部長)が登壇し、パネルディスカッションが行われました。

左より弓場 昭大氏(ユーミーコーポレーション株式会社 代表取締役)・小林 浩宣氏(鹿児島ユナイテッドFC 地域連携部 部長)・有川 久志氏(株式会社鹿児島レブナイズ 代表取締役社長COO)・中垣 雄氏(株式会社チェンジ鹿児島 代表取締役)

改めて御三方に自己紹介をしていただいた後、最初のトークテーマへと移ります。

トークテーマ1:クラブ運営に関わる想い

最初のテーマはズバリ、「クラブ運営にかける想い」について。それぞれのクラブ運営者が、”どんな想い” で ”何のため” に活動を行なっているのかについてお話を伺います。

中垣氏からも、「プロスポーツクラブの運営側の想いを聞く機会は中々無い。いちファンとして(クラブチームを)応援している気持ちは勿論あると思うが、その辺りも含めて熱い想いを聞かせていただきたい。」という想いが語られました。

「鹿児島に住む理由を作りたかった。」

現•鹿児島レブナイズ 代表取締役社長COOである有川氏は、一昨年まで鹿児島ユナイテッドの運営に携わっており、鹿児島ユナイテッドの前身の一つであるFC鹿児島の発起人でもあります。

有川氏は、プロスポーツのクラブ運営に携わるきっかけについて、「東京で働いていた40歳頃、将来を見据えるうえで『スポーツで故郷の鹿児島を盛り上げたい』と思い、鹿児島でサッカーチームを作ることになった。」と述べます。続けて、「資本金を出し合ってチームをつくる、そんな0→1のプロセスを沢山見てきた中で、『経済的にも鹿児島を元気にしたい』という思いがあり、ここに挑戦しようと思った。」と語られました。

一方、小林氏は、「皆が鹿児島から出ていくような中で、『鹿児島に住む理由を作る』『鹿児島に残る理由を作る』という気持ちを持ったのがきっかけだった。」といいます。「(チェーン店の登場などにより)地域としての個性が失われるようになったこの時代に、”鹿児島だからこそできるもの”を見つけようと思い、鹿児島ユナイテッドFCのクラブ運営へ携わることになった。」と述べられました。

また、クラブ全体として実現したい想いとして、鹿児島ユナイテッドFCのスローガン『鹿児島をもっと一つに』の具現化を挙げ、「勝った喜び、負けた悔しさをも含めてみんなが一つになれるものを作り上げていきたい。」との想いが語られました。

「この恩を返したい」という思い

続いては、プロスポーツチームのバックアップを行う弓場氏の想いについて。

弓場氏は、「これまで何度も周りに助けられ、おかげさまで今の会社がある。自分も『誰かを助けたい』と思い辿り着いたのが、地域への貢献、そしてプロスポーツクラブへの支援だった。」といいます。

そして中垣氏より、本業であるユーミーコーポレーションへの貢献度が問われると、弓場氏はそこが”一番の課題”だと述べられました。

「現状、クラブの応援を行う企業に対してバックがあるかというと、無いに近い。例えば、1,000万円の応援で2,000万円の価値が返ってくるなら、企業からの応援がより増えていくと思う。」といいます。続けて、「(クラブの応援は)正直、ボランティアに近いのが現状。社員含め、企業全体で本気で応援していくためにも、プロスポーツクラブにはより盛り上がっていって欲しいし、それが叶えられるのが鹿児島だと思っている。」と語られました。

クラブ運営に対する想いや現状課題が分かった所で、次のテーマへと移ります。

トークテーマ2:企業として考える地域へのミッションと鹿児島に対しての思い

続いてのテーマは、「企業として考える地域へのミッションと鹿児島に対しての思い」について。

加えて中垣氏より、「mark MEIZANにおいても、”コミュニティづくり”を重要視している今、どのようなコミュニティづくりやファン集めを行なっているのかぜひ意見を伺いたい。」との問いも。

プロスポーツクラブと地元•鹿児島の結びつきやファン獲得に向けた施策について意見を伺います。

「プロスポーツクラブを利用して、新しい価値を生み出す。」

はじめに、小林氏より鹿児島ユナイテッドFCの地域貢献の一例として、喜入でのアカウミガメの保護活動についてお話いただきました。続けて、「間口の広いプロスポーツクラブを利用して、多種多様な活動とコラボレーションすることで、新しい価値を生むことができると思う。そうした形で(プロスポーツクラブを)ご活用いただけるように、これからも様々な活動を行なっていきたい。」と語られました。

また、ファン獲得のアドバイスとして「極論は、繰り返すこと。」と述べられた小林氏。
「鹿児島レブナイズも鹿児島ユナイテッドFCもクラブチームとしてあり続けるので、これからもずっと改善していくことができる。至ってシンプルだが、意見や課題を元により良くしていくことはとても重要。」といいます。

中垣氏からも、「ファンとしても”手触り感”があることが大事なのだと思う。実際にクラブチームへアドバイスをし、それが改善されていくのを間近で見ることで、ファンの中でも当事者意識が芽生え、クラブチームに対する愛着やより強固なコミュニティ形成に繋がるのではないか。」と語られました。

「鹿児島の人達に、週末の一つの選択を。」

一方、有川氏は「鹿児島の人達に、週末の一つの選択を与えている感覚でやっている。」といいます。「週末の(過ごし方の)選択肢があることで、街の価値が変わってくるのではないかとずっと思ってきた。そんな感覚で、今までプロスポーツクラブの運営を行ってきた。」と述べられました。



ファンづくりやコミュニティ形成に関するお話の中では、「ビジネスでは、A社が良いか・B社が良いかのような選択になるが、この場合は、レブナイズが良いか・ユナイテッドが良いかではなく、鹿児島が良いか・それ以外が良いかの選択になる。すると、鹿児島を選ぶ人々は、ある時は鹿児島レブナイズの試合を、ある時は鹿児島ユナイテッドFCの試合を観戦するといった、混在したコミュニティ形成がされていくといえる。」と語られた有川氏。

「スポーツのジャンルは違えど、登る山は同じ。」という中垣氏の言葉に加え、どのプロスポーツクラブも、目指しているものは”ふるさと愛”だということが分かりました。

トークテーマ3: 今後のクラブ運営を通じたコミュニティ作りに向けて

最後はトークテーマは、今後のクラブ運営を通じたコミュニティ作りについて。

「プロスポーツを踏み台に、鹿児島の経済を盛り上げたい。」

有川氏からは、「プロスポーツを踏み台にして、鹿児島の経済を盛り上げていくことにはこだわりたい。」と語られました。鹿児島レブナイズの強みも交え、「まだまだ少ないかもしれないが、東京にある企業との取り組みを行ったり、東京の経営者が鹿児島の起業したいと思っている若者に刺激を与えたりといった機会提供ができれば、少しずつステップを踏んで、いくつか面白い事例を増やせるのではないかと思う。」と述べられました。

「”ゴールの前では皆平等”の流れを鹿児島の社会へ。」

小林氏は、「スポーツはどんな属性の人もはまれるスポーツだと思う。」といいます。続けて、「多様性がなんだと言われるようなこの時代、思いの数だけ感動できるし、ゴールの前では皆平等だと思っている。その流れを鹿児島の社会に生かせるのではないかと本気で思っている。」と語られました。

弓場氏からは、今後のプロスポーツを通じたコミュニティ形成に向けたエールを。「一つは、(鹿児島ユナイテッドFCの)J2昇格というすごくわかりやすい成功事例があるように、鹿児島レブナイズも、B2昇格を決めてほしいという率直な気持ちがある。もう一つは、(鹿児島レブナイズにおいて)7年前はパラパラしかいなかった観客が今では満員になっているように、みんなが応援してくれて初めてコミュニティができると思うので、これからもそうしたコミュニティづくりに貢献できるような応援をしていきたい。」と語られました。

終わりに

トークセッション終了後には、参加者から「スポーツクラブ運営で、一番やりがいを感じる瞬間は?」という質問が。

有川氏は、「アリーナが満杯になっている瞬間。」小林氏は、「プロスポーツを通じて社会を変えられるんじゃないか?と思った瞬間。」という回答をいただきました。

プロスポーツ通じて、鹿児島の人々がコミュニティを形成し、共に喜びを分かち合い、それが結果として鹿児島の社会や経済を回していく姿に期待を寄せる御三方の熱い思いが伝わりました。

ご登壇いただいた弓場 昭大氏・小林 浩宣氏・有川 久志氏、中垣 雄氏、そしてご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

イベントの様子はこちらからご覧いただけます↓

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