“Spread Pt.2” 最終日 ビジネスプランコンテストを実施しました
2024年3月9日、「”Spread Pt.2″ 最終日 ビジネスプランコンテスト」が開催されました。
このプログラムは、昨年度から実施されており、未来の起業家やスタートアップを創出するために立ち上げられました。今回の「Spread Pt.2」では、アイディアの発想などの初期のサポートから、ビジネスプランの作り方、そしてそのプレゼンまでの一連のプロセスを全8回にわたり、起業・事業開発について包括的に学ぶ機会が提供されました。
高校生から大学生や社会人まで、多岐にわたる層からの応募があり、最終発表では計9チームが自身のビジネスプランを披露しました。各チームは緻密に練り上げたビジネスプランを、ピッチ6分、質疑応答6分という限られた時間内で熱弁しました。
オープニング
開会の挨拶として、鹿児島市 産業局 産業振興部 産業創出課 課長 安永 めぐみ 氏が登壇。「若い方々がビジネス作りにチャレンジすることはとても喜ばしいことだと思っている。新たな起業家の掘り起こしと育成に取り組んでいきたい。」とプログラムにかける想いを伝えました。
審査基準は「ビジネスプランの課題/解決策の解像度」「スケール性」「実現可能性」「ピッチプレゼンテーション力」の4項目各10点。加えて、審査員が1チーム限定で「特別点」5点を評価ポイントとして加えられました。
なお、審査員には、起業に深い関わりのある次の4名が務めました。
審査員
◾️GMOペパボ株式会社 代表取締役社長 佐藤 健太郎 氏
1981年鹿児島生まれ。2003年に有限会社paperboy&co.(現GMOペパボ株式会社)創業メンバーとして参画、2009年に代表取締役社長就任。表現活動を支えるインターネットインフラの提供を通じクリエイター・エコノミーの促進に取り組む。2019年には鹿児島オフィスを開設。自治体や金融機関との連携、鹿児島ユナイテッドFCなどのスポンサードを通じて鹿児島をITの力で盛り上げている。
◾️株式会社AppBrew 非常勤取締役 松井 友里 氏
高校卒業まで11年間アメリカで過ごす。Ashoka Japan、ウォンテッドリー等でインターン後、クラウドファンディングで得た資金で世界を巡ってスタートアップを取材するなど精力的に活動し、2016年2月(大学在学中)にAppBrewを共同創業。東京大学後期教養学部学際科学科中退。
◾️株式会社ドーガン・ベータ アソシエイト 赤瀬 太郎 氏
地域に根ざしたスタートアップ支援の可能性に共感し2020年インターンとして参画。2021年4月より現職。ファンド投資先のソーシングから投資検討、市場調査、投資実行まで全ての業務に従事している。在学時に九州大学の起業部を2年間運営した経験を活かし、地方学生×スタートアップの文脈での活動も行う。 福岡県遠賀郡出身 九州大学経済学部卒。
◾️鹿児島銀行 地域支援部 地域開発室 室長 飯森 利徳 氏
2000年入行。営業店にて法人向け融資等の業務に従事した後、早稲田大学ビジネススクールにてMBA取得。2015年本店営業部課長代理として、天文館再開発や百貨店を担当。2018年に伊藤忠商事とのJV「㈱GLコネクト」に出向し、総合商社と地域金融の連携に取組む。2020年地域支援部地域開発室長に就き、地方創生、取引先・地域課題の解決に日々奮闘中。
モデレーター
◾️油井 佑樹氏
ここからは、受賞した4チーム(最優秀賞1チーム、特別賞3チーム)から順に9チーム全てのピッチ内容をご紹介します。
高校生から大学生の9チームがピッチを披露
【最優秀賞】コインロッカー不足ゼロの世界を目指す「ドコロカ」(登壇者:鹿児島情報高校 谷村 拓紀氏)
「空きテナント問題」と「コインロッカー不足」の解決を目指し、「ドコロカ」というサービスを提案しました。
近年、リモートワークやオフィスの縮小によって空きテナントが増え、同時にコインロッカー事業者が撤退する傾向が見られています。谷村氏はインバウンドの旅行者が大型荷物を預ける場所が不足しているという社会問題に着目しました。
「ドコロカ」の特徴について谷村氏は「スマホ1つで近くの空きテナントにスーツケースなどの荷物を簡単に預けることができます。ビジネスモデルは、『ドコロカ』の運営側がテナント側へ支払う料金は、ロッカー利用者が荷物を預けた時のみ利益の50%を支払う形となっています。また、空きテナント状態の入居者がいない期間のみ受け入れてもらうサービスのため、テナント側の負担も少なくなっています。」と話されました。
また競合他社との違いについて「事前予約不要で電話番号のみで利用可能であること、急な利用や複数荷物を預けたいユーザーにも対応できる点です。また、『ドコロカ』のボックスは1,050円で複数の荷物(スーツケース約4個分のスペース)を預けられるので、家族旅行などにも便利です。他社と比べて、ユーザーとテナントの両方に利益をもたらす優位性のあるビジネスだと考えています。』と述べられました。
参考企業の事例として、空きテナントを活用したビジネスを行う企業を挙げ、その企業が400以上の拠点を展開していることについて言及しました。この成功例から、『「ドコロカ」の空きテナントビジネスも同様に成功できる可能性が高いと考えています。』と話されました。
コインロッカーの市場規模は日本で1年間で360億円あるといいます。谷村氏は「ドコロカはこの1%の3.6億円を目指していきたいと思います。」「このサービスで、空きテナント問題とコインロッカー不足の両方を解決し、コインロッカー不足ゼロの世界を目指します。」と意気込みを語りました。
<受賞者コメント>
「1年前から6名で活動していて、頑張ってきて良かったと思いました。このような賞をいただきとても嬉しいです。」(谷村氏)
<審査員コメント>
「空きテナントという社会課題をインバウンドを使って解決しようという発想が素晴らしいと思いました。この問題は鹿児島に限らず、他の地域でも同様に発生しているため、スケール化できる可能性もあります。今後も期待しています!」(GMOペパボ株式会社 佐藤氏)
【審査員特別賞】保育士同士の相互補助を促進する保育DXサービス「保育DX化」(登壇者:鹿児島高専 岩下 実聖氏)
保育業務の効率化と解決を目指し、生成AIと「装着型IoTセンサー」を用いた保育DX事業を提案しました。
岩下氏は「現在の保育業界では、保育士の負担が増大しており、既存のサービスでは解決できていない課題があります。」と話された後、体温や昼寝時間の呼吸確認などの情報を取得する「装着型IoTセンサー」の内容について話されました。岩下氏は「このセンサーは異常事態を早期に検知し、保育士に通知する仕組みを持ち、保育士が園児の状況を効率的に把握できます。さらに、生成AIを活用して文章生成やテンプレート化を行い、必要なデータは同時に保護者への連絡帳や保育日誌など書類業務の相互補助を促すことが可能です。これらの機能をスマートフォンで使用できるため、場所に捉われず業務することができ、保育園全体の運営を効率化します。」と説明されました。
サービスの導入の効果について「保育業務の改善だけでなく、保育園全体の運営を効率的に行い、保育の質を向上させることが期待されます。市場規模も大きく、日本では382億円、アメリカでは500億円以上と予測されています。」と話されました。
現在は、Iotの制作を北九州のロボットベンチャーに依頼し、アプリの制作を東京のベンチャー企業のアプリ開発者に依頼しているとのこと。岩下氏は「私たちはこのサービスで保育業界にイノベーションをもたらしたいと考えています。」と強く述べられました。
<受賞者コメント>
「特別賞に選んでいただいたので、これからもIotやITの分野を頑張って取り組んでいきたいと思います。」(岩下氏)
<審査員コメント>
「年齢も若く保育と遠いはずなのに、そこに着目したことに素晴らしさを感じました。とても応援したくなるビジネスで、実証実験をする際などは鹿児島銀行のネットワークを使うなどしてお手伝いできるのではないかと思い、選ばせていただきました。」(鹿児島銀行 飯森氏)
【審査員特別賞】心のパートナー「あい」 (登壇者:鹿児島大学 田中 開氏)
自身の経験から、心の健康に向き合う重要性に気づき、心の整理に日記が効果的であることに着目し、心の健康に焦点を当てたアプリ「あい」を提案しました。
このアプリでは、感情を振り返り、整理することで自己理解が深まり、心が健康になる体験を提供します。
田中氏はサービスの仕組みについて『「あい」にチャットを通してご自身の感情を吐き出し、その反応を受けて心が整理されることでユーザーの自己理解が促進されます。さらに、チャットを始めてから1週間単位で感情の変化を記録し、グラフ化。過去のチャットの会話から心の天気予報(予測)を行ってくれ、ポジティブなアドバイスを提供します。』と説明されました。
またターゲットは独自のアンケートをもとに「週に2〜3回心の苦しい時間がある」「苦しい時に溜め込んでしまう」方に向けてサブスクで月500円の展開を考えているとのこと。
市場については『競合他社が存在しますが、「あい」は自己理解、寄り添い、心の整理に焦点を当てており、優位性を持っています。』と述べられました。
自身の経験を振り返りながら「心が苦しい時に手を差し伸べ、一緒に前に進んでいくサービスでありたい」という思いを話されました。
<受賞者コメント>
「自分がやりたいサービスということで熱い思いもあったので、このような賞をいただき、身が引き締まる思いです。チャレンジする楽しさとビジネスの楽しさを知れて今回の機会にとても感謝しています。これからも精進していきます。」(田中氏)
<審査員コメント>
「社会が前進するといろんな課題が解決されていくと思うのですが、場合によっては社会が前進したせいで新たな課題が生まれるという話があると思っています。田中さんが取り組んでいることはまさにそういった課題に取り組んでいると思っています。いろいろなサービスが生まれていくなかで、難しさのある領域だと思いますが、自分の信じるサービスを広げていくためにこれからも頑張ってほしいと思います。」(株式会社ドーガン・ベータ アソシエイト 赤瀬 氏)
【審査員特別賞】和精油輸出に向けた量産体制及び海外香水メーカーへの販路拡大 (登壇者:志學館大学 久木田 紫絵留氏)
サワーポメロの男女ともに好まれる香りに着目し、世界に製品を提供するビジネスを立ち上げました。久木田氏は合同会社Le Ciel Fuséeを設立し、代表を務めながら、精油とバームの商品化を進め、「将来的には化粧品も展開したい」と考えを述べられました。久木田氏の思いは、サワーポメロの知名度向上と地域の活性化を図るためであり、地元の農家と連携し、実際に収穫から行うほか、ご自身でも畑を購入しサワーポメロを栽培する予定であることを話されました。また、廃棄されるものを有効活用することで、SDGsにも貢献するメリットがあることも説明されました。
ビジネスモデルについて久木田氏は「生産者と香水メーカー、購入者の3者間にLe Ciel Fusée入ります。生産者にサワーポメロの原料を提供していただき、香水メーカーに販売し、サワーポメロの製品に付加価値を付け消費者に商品を届けたいと考えています。」と述べられました。
マイルストーンとしては、精油のみの場合や加工品を含む場合の年間売上の見込みは約1,000万円で、将来的な成長目標としては、5年後には6,000万円、10年後には1億円の売上を目指してるとのこと。
<受賞者コメント>
「素晴らしいビジネスプランが沢山あった中で、自分のビジネスプランが選ばれたことがとても嬉しいです。これからも事業を頑張っていきたいと思います。」(久木田氏)
<審査員コメント>
「実際にこれまでも事業を進められてきて、その行動力だったりとか着目されている事業も鹿児島特有の世界の人がまだ気づいていない久木田さんが信じている価値を広めるというところに固有性と可能性のある事業だと思い、特別賞を贈らせていただきます。」(株式会社AppBrew 松井 氏)
ロボットでカーナビに革命を起こす「ROBONAVI」(登壇者:鹿児島高専 G1LABO 代表 中垣内 拓人氏)
カーナビでの道案内の不便さに着目し、「助手席ロボット ROBONABI」を提案しました。このロボットは車内に設置され、指を使って道案内をしてくれるサポート機能を持ちます。
ビジネスモデルについてはG1LABOが製造し、ディーラーを通じてユーザーに提供され、ユーザーはサブスクリプション料金を支払ってサービスを利用する形であることを話されました。
市場規模については「世界の自動車用ナビゲーションシステム市場の4.8兆円で、初めて車を買う人の71億円の市場をターゲットとし、今後の展開では、1年間でニーズを検証し、2年目に本格的な販売を目指しています。また将来的には車を持つ人の15%にシェアを持つことを目標としています。」と述べられました。
このROBONAVIは、高専の6人チームによって開発され、「ロボットで世界をより面白く便利にする」という目標に向かって意気込みを語りました。
あなたの鼻と舌を鍛え、誰よりもあなたを理解する酒屋「flavorite」(登壇者:鹿児島大学 HAN CHUNKYU氏)
焼酎のタイプ診断から、自分の好みに合った焼酎を提案する「flavorite」というアプリサービスを提案しました。このサービスは、ユーザーの好みの分析やペアリングやキーワード検索などから、好みに合った焼酎をお勧めするほか、ヘビーユーザーや専門家からの焼酎のコメントを見ることができ、オンラインで購入することができます。また、他者とのサービスの差別化について「焼酎のファンとコミュニケーションを取るコミュニティーサービスも提供し、他社にはない強みを持っています。」と述べられました。
ビジネスモデルでは、ユーザー向けに商品の製造と販売、メーカー向けにEC販売手数料や広告費、ユーザーのデータ販売を考えているとのこと。
マイルストーンについては「2024年6月までに焼酎タイプの診断サービスやテイスティングノートの制作を完成させ、10月にはデータの収集を80%以上に、2025年1月にはすべての機能を提供し、2030年には海外進出を考えています。」と話されました。
HAN 氏はアドバイザーとして、焼酎の専門家である鹿児島大学農学部の高峰和則教授にアドバイスを受けていることを話され「私自身も1万2,000人規模のSNSチャンネルを運営しているので、コンテンツ制作能力を活かし、『flavorite』を世界に広めていきたいです。」と意気込みを語りました。
漠然とした不安を解決するAI「naze2?」(登壇者:鹿児島大学 児玉 豪氏)
児玉氏は、不安や悩みを整理し、解決へ導くAIアプリ「naze2?」を提案しました。
このシステムは、「なぜ悩んでいるか分からない」「どう解決すればいいかわからない」といった時に、「naze2?」に質問を投げることで、悩みを整理し、解決方法を導いてくれるサービスです。児玉氏自身も進路で悩んだ際にこのシステムを利用し、「自分の漠然とした悩みを言語化するのに役立った。」と話されました。
ビジネスモデルについて『openAIからAPIを借りて、「naze2?」と連携させます。利用者は1時間200円の利用料を考えています。このAIアプリでは、利用者が「naze2?」を通じて悩みを解決し、「naze2?」が利用者に質問をしていくという一連の流れをサービス化していきます。』と話されました。
マイルストーンとしては、2024年3月にGPTsでMVPを作成し、GPTs有料会員に提供して反応を見るとのこと。そして、2024年4月にはWebアプリを作成し「chatGPT無料会員も利用できるよう取り組んでいく」と話されました。
※GPTs:OpenAIによって開発されたChatGPTをカスタマイズできる機能です。
※MVP:製品開発における段階一つであり、必要最低限の機能を搭載したサービスやプロダクト(製品)のことを指します。
鹿児島の社会問題解決を促進するオンラインテーマパーク「超空間『X-ina(シーナ)』」(登壇者:志學館大学 橋本 優氏)
鹿児島の社会問題解決を促進するオンラインテーマパーク「超空間『X-ina(シーナ)』」を提案しました。
このサービスでは、日常生活に手一杯な方々に、社会問題に興味を持ってもらうための情報を提供します。橋本氏はサービスの仕組みについて『研究者やプロフェッショナルなどの専門家を「忍者」として集め、彼らを鹿児島に存在する架空の国「Xの国」の住人として設定します。この空間では、一般人から忍者に転身し、日常の延長線上ではなく、忍者としての責務を果たすことで社会問題に取り組みます。サービスでは、社会問題をキャラクターや妖怪にして表現し、忍者たちが分析と策を提示します。参加者が実行に移す度に、妖怪にダメージを与え、社会問題との戦いが日々展開されます。』と説明されました。
「忍者」の登録は特別な資格がなくてもご自身の経験や特技を活かして忍者登録することができ、そこから仕事を得ることも可能となるとのこと。また、不安や困りごとを解決できる人を要請する仕組みを持つと話されました。
ビジネスモデルについて「入園費100円を設定し、その収益を使って困りごとに対処します。登録者10万人で月1,000万円が見込まれ、忍者の時給が2,000円とすると、5,000人の困りごとが解決できます。登録者数が増えれば、収益も増加し、多くの人々が問題解決に貢献することが期待されます。競合他社も存在しますが、ストーリー性や鹿児島に根ざしたサービス内容で競合優位性を確保しています。」と述べられました。
また、個人塾flaflaの中馬 風花氏、経済学者である鹿児島国際大学院兼任講師 /元鹿児島県短期大学教授 朝日 吉太郎氏、歴史学者である志學館大学教授 /鹿児島大学 名誉教授 原口 泉氏も協力者として加わっているとのことを話されました。
服装選びの時間を0にする「LINEチャットボット」(登壇者:鹿児島高専 Feel fit)
服装選びの時間を0にし、気温や天気、おしゃれなどあらゆる要素を考慮して服を選んでくれる便利なLINEチャットボットサービス「Feel fit」を提案しました。調査によると74%の人が服選びに悩んでいる現状があり、「このサービスを利用すれば、自身の持っている服から選んでくれるだけでなく、洋服の購入時にもおすすめを提案してくれる」と述べられました。
服装選びの点では「現在の想定では服の画像とタグ画像を登録することで、自動的に服の詳細情報が登録され、よりパーソナライズされた服が提案可能となります。また、毎日決まった時間に降水確率や気温に適した服装が画像で提案されるため、朝の服選びのストレスも軽減されます。」と話されました。
服装を購入する点では、20代から40代の女性を対象に、洋服選びの時間と失敗経験を減らすことを目指しているとのこと。ユーザーの好みや持っている洋服などの情報をデータ化し、個々に最適な洋服を提案し、 LINE上で購入できるようにすると述べられました。
ビジネスモデルは「フィールフィットを通じた服の購入に応じて手数料を得る仕組みです。競合他社はありますが、ライン上で提案から服の販売までワンストップでできるため、他社との差別化を測れます。」と説明しました。
今後の計画について「現在のユーザー数は71人、提携店舗数は0店舗ですが、来年までに4,000人、5店舗の提携を目指します。」と目標を話されました。
質問セッション
審査員を務められた株式会社App Brew 非常勤取締役 松井 氏、GMOペパボ株式会社 代表取締役社長 佐藤 氏に登壇いただき、参加者の皆様からの質問に応えるセッションを行い、モデレーターをEast Venturesフェロー 大柴氏が務めました。
質問セッション① 株式会社App Brew 非常勤取締役 松井 友里氏
松井氏は、コスメの口コミサービス「LIPS」の取締役を務めています。「LIPS」は、現在コスメ・美容に特化したクチコミアプリとして、10代~20代の女性を中心に350万以上のダウンロード数を誇る人気のアプリです。松井氏は大学在学中にApp Brewを起業し、その後も継続してサービスを提供しています。大学は文系出身でしたが、App Brewを創立する際にはプログラミングを学びながら、デザインを独学で身につけ、プロダクトの開発を始めたといいます。
LIPSを立ち上げるきっかけについて質問を受けると、「過去に何度もプロダクトを開発し、検証しては潰してきました。LIPSは、コスメの口コミサービスがあればいいなと思い始め、初めてマーケティング費用を使って多くのユーザーにアプローチしました。YouTubeマーケティングを行い、成功できたことが重要な学びに繋がりました。」と述べました。
また、鹿児島でスタートアップを目指す方々へのメッセージとして、「情報収集の重要性」を強調しました。事業を進める上で情報収集が重要であると感じており、「マーケティングした時にどれくらいの数値感なら持続性がある」などサービスをやっている人たちの中で内輪で数字が共有されているものがあると言われました。松井氏は「その数値を知っていたので、比較して判断ができました。そのような情報を持っているところに足を運ぶなど、自ら情報を取りに行く必要があると思います。」と話されました。
そして、モデレーターの大柴氏は「皆さんが自ら情報を取りに行く努力をすると同時にmark MEIZANでも行政を含めて情報提供の機会を提供していきたいと思います。」と述べれました。
他にも約30個以上の質問があり、「チームマネジメントで気をつけていたこと」「資金調達について」「後悔した判断・良い判断」など松井氏の起業とマーケティングの経験から様々な質問に答えていただきました。
質問セッション② GMOペパボ株式会社 代表取締役社長 佐藤 健太郎氏
佐藤氏が代表取締役社長を務めるGMOペパボ株式会社では、ハンドメイドマーケット「minne」やレンタルサーバー「ロリポップ!」、ECサイト構築サービス「カラーミーショップ」など、さまざまなサービスを提供しています。
座右の銘について尋ねられると、「敬天愛人」と答えられました。これは、自分のためだけでなく人や世の中のために行動することの重要性を表す言葉で、佐藤氏は「会社の意思決定においても、自分のエゴではなく組織や世の中のためになる判断をしているか常に振り返るようにしています。」と話されました。
また、「スタートアップを目指す若者が10代・20代に学んでおくとよいものは?」という質問には、「会計の知識とプログラミングやデザインのスキル」とお答えいただきました。
「今はスタートアップを始める前に、資金調達やファイナンスの知識を学んでおくといい時代。プログラミングやデザインスキルがあると、アイデアを形にすることができる。机上の空論や思いだけの状態を超えることができる」とご自身の経験から導かれたアドバイスをいただきました。
他にも、「社内の環境づくりでこだわっている点」「事業開発で面白いと感じている領域」などの質問があり、佐藤氏には経営とマーケティングの視点でお答えいただきました。
終わりに
9チームが登壇に立った「Spread Pt.2」。
どのピッチも素晴らしく最後までどこが優勝するか分からない場面もありました。
プログラムのメンタリングを担当したmonoDuki合同会社の村上 将太郎氏は「とても良いピッチだったし、皆さんのこれからの成長が凄く楽しみです。」と話されました。
最後に、閉会の挨拶をmark MEIZAN運営代表である株式会社リリー代表取締役社長 野崎 弘幸氏に登壇いただきました。「若い方が参加いただき、成長の幅が大きかったことがすごく良かったと感じています。今何ができるかというよりはやりたいことを考えて成長していくことが大事だと思うので、これからも頑張っていってほしいと思います。」と話されました。
審査員の方々、ピッチセッションにご登壇された方々、参加いただき誠にありがとうございました。
mark MEIZANは今後も起業家を生むような取組みを行ない、来年度以降もピッチコンテストの機会を作っていきます。また、来年度も多くの方に参加していただけるイベントを作ってまいります。