Webデザインの今を知る! Webデザイントレンド講座
2024年2月22日、デジタルハリウッド大学 准教授/デジタルハリウッド大学院 准教授 栗谷 幸助 氏をお招きし、「Webデザインの今を知る! Webデザイントレンド講座」を開催しました。
参加者は約60名にも及び、その中にはWebデザイン業界に携わる方たちも多く参加され、セミナーは大盛況となりました。
栗谷氏はWebの企画、デザイン、サイト運営など、幅広い領域で活躍しながら、各地でWeb関連の講義を行い、現在はデジタルハリウッド大学に所属されています。さらに、教育の場でICTを活用した実践や情報共有を行う教育者チーム「iTeachers」のメンバーとしても活躍。また著書として「デジハリ・デザインスクール」シリーズや、「初心者からちゃんとしたプロになる Webデザイン基礎入門 」などを出版されています。
今回のセミナーでは「Webデザインとは何か?」を確認した上で、さまざまなWebサイトを見て行きながら 「今のWebデザインのトレンド」について教えていただきました。
Webサイト制作で大切なこと
参加者とともに、新聞、書籍、ラジオ、テレビなどの伝統的メディアとWebデザインの対比を考えた後、栗谷氏からはWebサイト制作における重要な「5つの階層」についてお話しいただきました。
Webサイトを構築する際、「①戦略階層」「②要件階層」「③構造階層」「④骨格階層」「⑤表層階層」というプロセスを踏むことを教えていただきました。その中で、最初に着手すべき段階は「①戦略階層」であり、ユーザーの要望やサイトの目的を考慮することが最も重要であると述べられました。
栗谷氏は「このポイントは基本的に思えるかもしれませんが、実際には、『④骨格階層』でのナビゲーションデザインや『⑤表層階層』でのビジュアルデザインに先走ってしまう傾向が見受けられるとの指摘がありました。しかし、骨格や表面のデザインは最終段階であり、順番を守って段階的に進めるべきです。デザインを先行させることで、サイトの機能やデザインの一貫性が損なわれるおそれがあるため、戦略を先に明確にしておくことが肝心です。」と話されました。
このお話から、Webデザインが外見の美しさだけでなく、「ユーザーのニーズに沿っているか」「サイトの目的を満たしているか」など戦略性が極めて重要であることが分かりました。
Webデザインを行う際の表現の2つの指標
栗谷氏は、Webデザインにおいて重要な指標である「装飾美」と「機能美」について説明されました。装飾美は見た目の美しさや魅力を表し、機能美は使いやすさや便利さを指します。そして、この相反する2つの指標を HTML、CSS、情報整理などのスキルをベースにして、いかにバランス良く表現していくのかを説明されました。
その後、栗谷氏が選ばれた約30個のWebサイトを紹介いただき、実際に観察しました。「装飾美」と「機能美」はもちろん「どのようなデザインが使われているか」「どのようにコンテンツが魅力を伝えているか」そして「最新のデザイントレンド」についてWebサイトを1つずつ詳しく解説いただきました。
また栗谷氏は、セミナーの中で、将来的に流行しそうなWebサイトデザインについて独自の視点を示し、実際のWebサイトを例に挙げながら、新たなデザインの可能性についても述べられました。
セミナー中は、参加者が「なるほど」と声を漏らす場面がありました。多くのWebサイトに触れ、実践的な視点からWebデザインの理解を深めることができました。
おわりに
栗谷氏はWebサイト制作にまつわる様々な「キーワード」を知れば探求ができると話されました。加えて「いまの表現だけに目を向けないこと。他の手法でもできることはないかと視野を広げることが大切。」と話されました。
また、セミナーで紹介された「装飾美・機能美」のトレンドの意義について、「最初はトレンドを追いかけることから始まるかもしれませんが、その後は皆さんが新たなトレンドを築くことができるようになると思います。」と述べ「多くのWebサイトを見ることで、新たな発見があり、ものづくりがより楽しくなります。周囲の人々とデザインについて意見交換を行い、デザインについての議論もしてほしいと思います。」と話されました。
今回のイベントはWebサイトのトレンドはもちろん、Web制作を行うにあたり大切なことを教えていただける貴重なセミナーとなりました。
講演いただきました栗谷氏、そして参加者の皆様、心より感謝申し上げます。mark MEIZANでは、今後もクリエイティブ産業の創出とコミュニティ形成の拠点施設として、今回のようなイベントやセミナーを行なってまいりたいと思います。