クラウド会計から始める!中小企業のDX体験セミナー
10月20日、27日に鹿児島県中小企業家同友会の協力のもと「クラウド会計から始める!中小企業のDX体験セミナー」が開催されました。本セミナーは【第1回:会計編】【第2回:経理編】の2回構成で実施され、税理士法人武内総合会計鹿児島事務所 所長 下吉竜司氏と株式会社マネーフォワード 秋房 耕文 氏を講師に迎えました。
経理や会計に携わる経営者・自営業者など、多くの方々が参加し、講演とクラウド会計ソフト「マネーフォワード」の体験を通じて、DXの必要性と実践的な活用法を学びました。

DXで変わる経理の未来 ー下吉 竜司氏
下吉氏は「なぜ今DX(デジタルトランスフォーメーション)が必要なのか」という問いから講演をスタート。
人手不足の深刻化やリモートワークの拡大、インボイス制度や電子帳簿保存法といったデジタル化を前提とした法改正への対応など、企業を取り巻く環境が急速に変化している現状を解説しました。

「これらの課題を人手だけで解決することには限界があり、DXによる生産性の向上が鍵になる」と下吉氏。定型業務を自動化し、AIによるサポートのもと、勘や経験に頼らずデータに基づく意思決定を行うことで、新たな価値創造や市場拡大の可能性が広がると説明しました。
また、いわゆる「2025年の崖」にも言及。これは、古いIT基盤と人材不足によりDXが停滞するとデジタル競争力が低下し、年間最大12兆円の経済損失に陥るという問題です。下吉氏は「DX待ったなしの現状がある」と警鐘を鳴らしました。
▍DXで実現する「攻めの経理」
現場でもDXの必要性は高まっているといいます。
従来の経理は、記帳・支払い・請求といった作業に追われ、過去の数字をまとめることで精一杯のいわゆる「守りの経理」。 一方、ITツールを活用して業務を自動化することで、リアルタイムな経営データをもとに未来の戦略を立案する「攻めの経理」への変革が可能になります。下吉氏は「DXは単なるツールの導入ではなく、業務を変革し、企業の競争力を高めるところが一番の目的」と力強く語りました。
▍業務をつなげて負担もミスも減らす
下吉氏は、紙やExcel中心のアナログ運用では担当者依存が強くなり、組織拡大時や法改正時に非効率的だと指摘。クラウド型会計ソフトを導入することで、一般的な企業の業務フローに準じた形で標準化できるメリットがあると述べました。
さらに、給与ソフトや請求書発行ソフト、経費精算ソフトをそれぞれ連携させることで、自動化・効率化・法改正への迅速な対応が可能になり、人的負担やミスの削減にもつながると説明しました。
経営に活かすクラウド会計の実践 ー秋房 耕文 氏

秋房氏からは、マネーフォワードクラウドを活用した実践的なDXの進め方が紹介されました。マネーフォワード クラウドは、経理・会計・税務を一体化させたプラットフォームであり、その最大の特徴は「いつでも、どこでも、誰とでも」業務を進められる柔軟性にあるといいます。これにより、経理担当者・経営者・税理士など関係者全員がリアルタイムに経営状況を共有できるようになると説明しました。
▍企業を支える経理・会計の役割
秋房氏はまず、経理業務の基本的な流れに触れ、経理とは「お金や資産の動きを管理・集計する業務」であり、 会計・税務の基礎を支える重要な業務であると強調。日々の支払いや備品購入、給与計算、預金管理といった企業活動全般が経理業務に含まれ、これらを正確に記録・集計することが会計処理につながると話しました。
さらに、経理から会計、そして税務へと至る「お金の流れ」の全体像を整理したうえで、 会計は企業の「通信簿」にあたるものであり、そのデータをもとに税申告や補助金申請などにも展開していくと説明しました。
▍クラウド会計ソフト導入でリアルタイム経営を可能に
続いて、クラウド会計ソフトの導入が進む背景について解説いただきました。人手不足や物価上昇、金利上昇といった経営環境の変化を踏まえ、リアルタイムでの数字の見える化や、業務基盤の整備が求められていると説明。そこで、クラウド会計ソフトを導入することによって、過去実績と今後の計画を照らし合わせながら迅速に経営判断を行えるため、その点が評価されているといいます。
マネーフォワードクラウドは、会計を中心に「人事労務」「給与」「経費精算」などを一体的に管理できる構成になっており、これによって給与計算や年末調整などの負担軽減が期待できると紹介されました。特に、請求書や経費の電子保存に対応しており、電子帳簿保存法への対応も容易である点を強調。請求書発行から会計処理、保存までが自動で連携される仕組みが紹介されました。
▍導入前の整理と段階的導入がポイント
秋房氏は、マネーフォワードクラウドが1契約で複数のサービスを利用できる点に触れつつ、「すべてを一度に導入する必要はない」と強調。まずは課題の大きい領域(例:会計、給与、請求書など)から導入し、効果を実感しながら段階的に拡張していくことが望ましいと話しました。
また、導入前には自社の現状(どのソフトを使っているか、どこが手作業かなど)を図や表で可視化し、業務フローを整理することを推奨しました。そのうえで、どの部分を自動化・連携できるかを検討するとスムーズな導入につながるとアドバイスしました。
操作感と便利さを実感!体験セッション
会計編・経理編ともに、参加者はデモアカウントを使い、実際にマネーフォワードクラウドにログイン。秋房氏による説明のもと、銀行連携やAIによる自動仕訳提案といった機能や、請求書発行や給与計算などの操作を体験しました。
その場で質問も飛び交い、セミナーは終始活気のある雰囲気に。中には、体験をきっかけにクラウド会計ソフトの導入を決めた参加者もいらっしゃいました。

経営を次のステージへ
今回のセミナーを通じて、クラウド会計ソフトが単なる効率化のツールではなく、経営基盤を支える戦略的インフラであることが示されました。参加者の皆さまにとって、DX推進に向けた具体的なイメージを持ち、業務改善への意識を高める有意義な学びの機会となったのではないでしょうか。
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