Hono作者 yusukebe氏 来鹿! OSS開発からCloudflareへ ― エンジニアとしての歩み方~ Tech Surfers Vol.4 ~
県内外で活躍するエンジニアを招いた講演・パネルディスカッション形式のエンジニアセミナー「Tech Surfers」。2026年3月20日、第4回となる「Hono作者 yusukebe氏 来鹿! OSS開発からCloudflareへ ― エンジニアとしての歩み方〜Tech Surfers Vol.4〜」を開催しました。
今回のゲストは、JavaScriptフレームワーク「Hono」の作者、ゆーすけべーこと和田裕介氏。起業、人気サービス「ボケて」の開発、「Hono」のリリースを経て、現在はCloudflareのDevelope Advocateとして、Honoのメンテナンスや世界中でのイベントの開催や登壇、開発者プラットフォームの普及活動に奔走されています。ご自身のユニークなキャリアを振り返りながら、どのようにキャリアを築き上げてきたのか、そしてその背後にある考え方について、実体験をベースにお話しいただきました。
エンジニアとしての歩み方がテーマということで、会場には多くの若手エンジニアや学生が集まりました。エンジニアとして第一線で活躍する和田氏からどんなお話が聞けるのか。参加者の熱い視線が注がれました。

異色のキャリアの始まり
冒頭、和田氏は昔から自分は「変だなと思うことがたくさんあった」と話します。意外にも小学生の頃の夢は「サラリーマン」。当時は普通でいたいという想いがあったのかもしれないと振り返ります。そんな普通に憧れていた和田氏ですが、大学院卒業を目前に控えたある日、突然父親が会社を登記。いつの間にか父親とともに創業、社長に就任することになりました。こうして誕生した株式会社ワディットで、和田氏のWeb開発のキャリアがスタートします。

その頃は在宅で仕事をしていた和田氏。20年前の当時はリモートワークという言葉がまだない時代で、在宅で仕事をしている、ということが理解されづらかったといいます。誰かと話す時間もなく、外交的な和田氏にとっては孤独でつらい生活でした。
その孤独を解消するために和田氏が取った行動は、意識的に人と会うことでした。小さなミートアップでも、エンジニア関連以外の飲み会でも、あらゆる場に積極的に顔を出しました。さらに、その中で希望を満たせる場所がないときには自分でイベントやコミュニティを作ってきたといいます。これまでに和田氏が作ったイベントやコミュニティの数々が紹介され、「孤独だから人に会う、希望する場所がなければ作る」という圧倒的なフットワークの軽さと実行力が伺えました。
自分らしいエンジニアリングとはー外向的だからこそ生まれたHono
和田氏は、自身の才能と性格を冷静に分析します。これまでの経験から「何かを作る」ことは得意だが、一方で「演じる」ような身一つで何かをやることは苦手。そして何より、性格面では「人を喜ばせることが最大の喜び」であり、自身は外向型のエンジニアだとの認識を語りました。
世間的に内向的なイメージを持たれがちなエンジニアですが、外向的な自分だからこそ今のHonoがあると和田氏。ソフトウェアそのものを作るだけではなく、それを取り巻く人の間に対して干渉する。それこそが自分なりのエンジニアリングの仕方だったと気づいたそうです。「単に技能だけではなく、性格や才能によってどういったものを作るかが変わってくるというのはおもしろい」と言葉に熱がこもります。
誰かのやり方を無理に真似る必要はなく、自分の性格と才能に合ったことを続けていけばそのうち自分の色が出てくる、という和田氏の実体験に基づいたお話は、多くの参加者に勇気を与えるものでした。
OSS開発への向き合い方

そんな和田氏にとって、OSS開発は構えてやるものではなく、自然にやれたことでした。「おもしろいものを作ろう」「自分が詰まったバグは、きっと他の人も困っているはず」という極めてナチュラルな感覚。「コントリビュート自体が目的になってしまうのはよくないのではないか」「ソフトウェアのあるべき姿とは」といったお話もあり、和田氏のエンジニアとしての価値観が垣間見えました。
そうしたことを自然に継続してきた結果生まれたのが「Hono」でした。ここでも発揮された「なければ作る」という実行力。趣味の延長で磨き続けてきたプロダクトが評価され、Cloudflareへの入社につながります。入社後のグローバルなチームならではの苦労話や、世界各地で開催されたイベントでの体験談などもいきいきと語っていただき、参加者も夢中になって聞き入っていました。
「変を貫く」ー成功を引き寄せる心がけ
ユニークなキャリアを築いてきた和田氏。そのバックグラウンドとしてどんなことを考えてきたのでしょうか。
一つは、「得意を伸ばす」というシンプルなものでした。得意だから楽しい、楽しいから続く。そのために、得意なことを自然とやりたくなるような環境に身を置くことが大切だと話します。「好きこそ物の上手なれ」をまさに体現しているようなお話でした。
また、「来るもの拒まず」もかなり心がけているといいます。ハードルが高くても依頼を引き受け、乗り越える。それが人脈を広げ、次の大きなチャンスを連れてくる。現在は「苦手」としていた英語に挑戦し、毎日2時間の勉強を続けているという和田氏。「得意」をもっと先に進めるために必要であれば、苦手なことも頑張る。そんな和田氏の強さが感じられました。
他にも、和田氏がどういった考えを持ちながらキャリアを重ねてきたのかが語られました。最後には「自分の中の「変」に目を向けると発見があったりしておもしろい。それぞれなりの「変」を楽しんでいきましょう。」と明るく前向きな言葉で講演は締めくくられました。
和田氏の気さくなお人柄があふれる講演で、笑顔が度々こぼれる楽しい雰囲気のセミナーになりました。投影スライドを写真に収める参加者の姿も多く見られ、熱心に聞き入る様子が印象的でした。

mark MEIZANとともに、「得意」を信じて軽やかな一歩を
講演後の質疑応答では、「Agenticエージェントの発展がOSS開発にどのように影響するのか」「5年後のご自身と5年後のHonoはどうなっていると考えるか」「当たったプロダクトの共通点はなんだと思うか」「プロダクトを作る際のテーマ設定はどうしているか」など、次々と質問が寄せられ、時間ギリギリまで活発なやり取りが行われました。
今回のセミナーでは一貫して、得意なものをやり続ける素直さと、それを支える軽やかさと実行力の大切さを感じました。これからエンジニアの道を歩もうとする参加者の皆さまにとって、進むべき道のヒントが詰まった大変有意義な時間となったのではないでしょうか。
mark MEIZANでは、これからもコミュニティ形成とクリエイティブ人材育成の拠点として、皆さまのビジネスや活動を応援してまいります。他者との関わりから新たな自分が発見されたり、小さな一歩の積み重ねが次の道へとつながっていたりすることは少なくありません。mark MEIZANでは、交流会やセミナー等のイベント、起業やクリエイティブ、エンジニアリング等に関するスペシャリストへの相談などを行っています。ぜひお気軽にご活用ください!